事が行われることから、平成九年春ごろまでは復旧工事が港内全域で継続して行われる見込みとなっている。
ちなみに、神戸港における平成七年の工事作業の許可件数は三、二五〇件に上っており平成六年のおおむね二倍となっている。
また、神戸市はこのように港内全域で大規模に復旧工事が行われるにもかかわらず、港湾機能はできるだけ維持したいとしていることから、応急修理により使用可能

な岸壁は仮復旧して暫定的に供用し、あるいは岸壁が本格的に復旧し供用を始めると、それまで暫定的に供用していた岸壁の本格復旧工事に取りかかるなどして、例えば隣り合う岸壁の片方で工事が、他方で供用が行われるという具合になっており、港内の状況は非常に複雑になっている。
このため、一般利用船舶と工事作業、あるいは一般利用船舶と工事作業船舶との調整が要求され、安全確保を図る上では、先に述べた量的なものだけでなく、質的にも困難さを増していると言える。
以上のことから復旧工事の実施に際して港内の安全を確保するには、個々の施工者に対して安全対策の確立を働きかけるだけでは不十分と思われたため、神戸海上保安部では、次の安全対策に積極的に取り組み、復旧工事にかかわる事故防止に努めている。
1、神戸港復旧工事航行安全対策検討委員会における検討
前述のとおり、神戸港の復旧工事は安全確保を図る上で非常に厳しい要素を持っているため、復旧工事の発注者である第三港湾建設局、神戸市港湾局および神戸港埠頭公社は、その安全対策の検討を神戸海難防止研究会に委託し、学識経験者、海事関係者、行政機関等からなる「神戸港復旧工事航行安全対策検討委員会」を設置して次のような検討が行われた。
@安全対策の基本方針の策定
A情報の収集と提供のための組織の整備
B工事の進捗に伴う具体的安全対策策定のための組織の整備
C工事区域、工程等の調整のための体制の整備

この検討に基づき、第三港湾建設局等の発注者により工事作業の情報、入出港船舶の情報などを一元的に収集・整理・提供する「神戸港復旧工事航行安全情報センター」が設置され、毎日約四百カ所に船舶の動静や工事作業の状況などが提供されている。
また、施工に当たっての具体的な安全対策を検討するため「神戸港復旧工事航行安全対策協議会」を設置し、作業区域の設定、標識の設置、作業船連航管理規程、警戒船管理運用要領等の検討を行ったほか、船舶の運航や工事作業の競合による事故を防止するため、港内を六ブロックに区分してきめ細かな調整を行う体制を確立して安全の確保が図られている。
2、工事作業許可事務処理体制の強化
神戸港の復旧は、短期間に集中して行われることから、各施工者は、全国各地から多くの人員、作業船、資機材を集め、施工方法が決まった場所から次々に着工している。
このため、神戸海上保安部にお
前ページ 目次へ 次ページ